第17回定期演奏会に出演して


団員による演奏会の出演体験記です 演奏中のさまざまの想い&音楽に賭けるもの エトセトラ、エトセトラ...
●今回私が担当した2ndバイオリンのパートには、旋律を引き立た せるための「刻み」が頻出するのだが、フレーズに応じ刻み方を加 減するのは実に難しい。日頃からその難しさに頭を抱えていた私は、 本番中もとにかく「刻み」の部分に意識を集中させていた。  しかし、前半の演目を終え起立して視線を客席に投じ、拍手を贈 って下さる多くのお客さんの姿を目にしたとき、私は重大なことに 気がついた。演奏中、楽器の指板の上を行き来する指や、弦の上で 弾む弓をコントロールする右手の力の入れ具合など、目の前のこと にばかり気を取られるあまり、自分が多くの人々と広い空間を共有 し、その中で音を奏でているという意識が希薄になっていたのだ。  反省しつつ後半の演目に臨んだが、つい自身の奏法の細かな点に 気を取られてしまい、オーケストラの奏でる音が客席でどのように 響いているのだろうかといった客観的な視点を持つことは中々出来 なかった。改めて「表現」することの難しさを痛感した。来場して 下さった方々の温かい拍手を励みに、次回も頑張ろうと思った。                         (VnのNさん)
●オーボエ協奏曲でいつも飛び出しそうになってしまう箇所が あるのですが、本番ではとても安心して弾くことができました。 オーケストラに対して分かりやすく吹いて下さった北島さんの リードのしかたが印象的でした。ハイドンは出だしがばらついて しまったように思い難しさを感じました。モーツァルトの29番 は弦の出来が良かったように思います。      (VnのKさん)
●今回管楽器パートは(細かいミスはあったにせよ)自分たちと しては本番の演奏にのめり込めたというか、いつもより密度の高い アンサンブルが出来たように思う。MEOはモーツァルト以外 演奏しないと思っている人もいるようですが違う作曲家のものも 積極的に演奏したい。ソリストとはもっと回数を多く練習出来たら オーケストラに対する要求もより多く吸収できたと思います。                        (HrのMさん)
●演奏するときいつも穴の開くほど譜面をにらみつけている気が するので、今回のステージでは出来るだけ楽譜を離れて、指揮と 右隣の1stヴァイオリンの動きの中に意識を置くようにして 心がけて見ました。音数が少なめな楽器なので記憶もしやすい 面はありますが、コンチェルトの時などはずっと見ていないと やはり危険です。でもシンフォニーなど何度も演奏している曲 ではオーケストラと一体になっている感覚がありました。 ただ両手を離して運転しているような恐さもあり、後半のプロで 気が付いたらやはり楽譜を見ていました。ほどほどということは あるようです。オーボエコンチェルトで楽器の裏側なのに特に低音に なった時ホールのすみずみまで響き渡る音量感がすごくてとても 印象的でした。                        (VcのMさん)
●モーツアルトアンサンブルの定期も今回で17回となりますが 今まで木管楽器のコンチェルトはフルート、クラリネット、 ファゴット、ホルンとやってきましたが唯一オーボエだけはありま せんでした。何故、今まで取り上げられなかったのか分かりません が今回、N響の北島さんをお招きし念願のOboeConcertoで実現する ことが出来ました。  北島先生にはリハーサルにも数多く参加いただきそのリハーサル ごとに新しい発見があり大変勉強になりました。また、N響アワー などで拝見しているイメージは一寸堅い方かなぁと言った印象でした が実際は人柄もとてもよい方で大変、楽しくできました。  北島先生はドイツに留学されてからH・ヴィンシャーマン氏に師事 されたのことですが音の響きを大切にされているようで今回の演奏会 でもそれが良く表現されていたように感じられました。  オーボエの方でないと一寸、専門的になってしまうのすが北島先生の 使っていらっしゃる楽器はフランス製のマリゴのフルオートです。 それも幻の楽器と言われた14000番台の楽器なのです。 十数年前に相性が良いのでたまたま購入されたとのことでそれ以降 いろいろと楽器を変えられたそうですがこの楽器が良くオーバーホール を重ね未だに使用されているそうです。やはり素晴らしい響きの原点は 吹き手と楽器のマッチングにあったように感じたのは私だけでしょうか。                             (ObのIさん)
●(アンケート集計を担当して感じたのですが)アイネクライネ」 については、皆さんが聴いている曲なので、最近の固定観念で聴かれる 傾向があり、それと比較してというのがどうしても出てきました。 したがって、少し「重い」、「遅い」という感じをもたれたようです。 私たちは慎重に弾いてアンサンブルを重視するあまり、「軽快感」が 少し不足したかもしれません。ただ、アンサンブルとしては、良くできており、 練習の成果がでたのではないでしょうか。また、例えば、MEOは、あまり終わり の音を切って弾かず、若干余韻を大切にしますので、例えば3楽章の最近でも 良くされる演奏に比べ少し「違う」と感じる人がいたかも知れません。 この辺は、聞く人の好みの違いもあるかもしれません。                                 (VnのOさん)

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