愛媛交響楽団広報誌「かのん」第19号
発行 : 1998年6月
編集 : 木管パート
(イラスト:稲荷(Fg)、編集リーダー:山崎(Cl))



目次

1 池辺先生に突撃インタビュー
2 ナレーター永江孝子さんへの"逆もぎたて"インタビュー
3 「はじめまして!!」新入団員の方に登場願いました
4 「あの人は、今…」元愛響団員採田夫妻からの特別寄稿
5 編集後記

「池辺先生に突撃インタビュー!」

 *** 「作曲する側からのアプローチを感じ取ってほしい!」 ***

4月26日(日)、喫茶店「しみず」で中田先生やヴィオラの山下さんと昼食をとりながら、拙いインタビュアーの質間に、気さくにかつ真摯に答えていただきました。

Q.愛響を振っていただくのは4年ぶりですが、印象に違いが有りますか?

A.前回(旧制松山高等学校同窓会よりの委託作品 ”祝祭カンタータ「真・善・美」”の初演時)は自作の指揮、今回は他の作曲家の作品を含めての指揮なので単純には比較することは出来ないですね。 ただ、僕は36〜37歳までアマオケの指導をしていたので、久しぶりのアマオケの指揮台に立って、改めて新鮮さを感じています。また、僕はアマオケの中でクラリネットを吹いていたこともあるので、アマオケの前に立つ時に気持ちだけはアマチュアでいたいし、愛響のようなアマオケとお付き合いすることを非常に楽しく思っています。しかし、作曲家が棒を振ることのメリット(作曲する側からの音楽へのアプローチ)を一番に出したいので、団員の皆さんには、そのあたりを感じ取ってもらいたいと思っています。

Q.小説家などでは、昼間じゃないと執筆出来ないとか、夜中にならないと構想が湧かないなどという話をよく聞きますが、先生の場合はいかがですか?

A.僕の場合は夜も昼もないのね。朝起きて他に予定がなければ曲を作りはじめるし、ドラマ音楽の打ち合わせと番組収録の間に3時間の空きがあれば作曲の時間にあてます。もちろん移動の飛行機の中も、いつも愛用の3Bの鉛筆(僕はこれじゃないと作曲できないのね)と五線譜を持ち歩いているから作曲の場になります。とにかく寝ている時と他に予定を入れている時以外は作曲しているといってもいいんじゃないかなあ。

Q.注文で作る映画音楽などと、先生ご自身の欲求で作る曲に違いはあるのでしょうか?

A.人間には他人と接している時間と、孤独の時間が両方とも必要だと思うんです。僕の作品にとって附帯音楽(映画・ドラマ・劇のための作品)の作曲が前者で、純音楽というかコンサート用の作品を作っている時が後者にあたります。

 黒沢明監督の場合、音楽を入れる前のラッシュ(完成直前のフィルム)に黒沢監督のイメージに近いクラシック(たとえば「軽騎兵」)が録昔してあって、「こんな感じで曲を作って」と言われる場合が多いのです。そこで僕は、監督の欲するものはリズムなのかテンポなのか、または他の要素なのかを判断しながら作曲するわけです。出来上がった曲を聞かせると、音楽に造詣の深い監督に「このオーボエの旋律だけど、ヴィオラで弾いたほうがいいんじゃない」などと注文を付けられたりします。そんな要求に答えたり、打ち合わせをしながら作り上げていくのが附帯音楽です。

 附帯音楽を作っていると、いつの間にか孤独の雫が、僕のなかにポタリポタリと滴り落ちてきてなにかしら塊が出来てきます。この塊を自分なりに形作ったものが、いわゆる純音楽といわれるジャンルの作品群ということになります。先輩の作曲家の中には「附帯音楽は生活の手段で、自分の作品と呼べるのは純音楽作品だけ」と考える方もいます。しかし、僕にとって両者は車の両輪。両方とも必要不可欠のものです。

Q.愛響に苦言、提言をお願いします。

A.渡邉暁雄先生が長年顧問をなさっていた楽団らしく、演奏技術などは全国のアマオケの中でも上手な方だと思います。管楽器のローテーションの仕方や団の運営方法なども、プロの様な良いシステムを持っていると思います。ただ、それぞれに事情があると思いますが、練習への出席率が気にかかります。アンサンブルとかバランスの練習効率が悪くなります。一つ提案なんですが、音楽教室なども含めて演奏会の回数を増やしたらどうでしょうか。当該の演奏会に出演する団員一人ひとりに責任を持ってもらう形にすれば、演奏会に参加できる人数も増やせるし、パート内でいい意味でのライバル心も芽生えるのではないかと思います。これによって、より良い演奏の出来るオーケストラになっていくのじゃないでしょうか。

      

例によって怒涛のユーモアを交えてのひと刻でした。生来堅物のインタビュアーの聞き書きですので、和やかな雰囲気の一端も表せませんでしたが、悪しからず。最後にあの絶妙のユーモア(口が裂けてもダジャレとは言いませんでした)は何時、どうやって考え出すのですか、と伺ったところ、「考えたことは有りません。気がついたらシャベッテしまってます」とのことでした。先生がこなされる圧倒的な仕事の量と考え合わせてみると、小生の頭の中にあるものは単なる味噌ではないかと思われる今日この頃です。     (担当:西山 誠(Fl))


ナレーター永江孝子さんへの ”逆もぎたて”インタビュー

いつもTVでしか拝見することのできない永江さん、いったいどんな方だろうかな〜と楽しみにして南海放送にお邪魔致しました。いつもと反対の立場で、「インタビューを受けるのは難しい〜」とおっしゃりながらも、熱心に楽しく答えていただきました。

1、 サマコン演奏曲目「ピーターと狼」について
Q.今回、オーケストラと一緒に音楽を作っていくことで特別な思いはありますか?
A.中学校の時、ブラスバンド部でクラリネットを吹いていましたし、放送部でもありましたので影アナをするような話をいただいたことがありました。その時は結局実現出来なかったのですが、南海放送の愛響コンサートでアナウンスをさせていただく機会が出来、とてもうれしかったんです。ただ、今回のようにオーケストラとナレーションをするのは始めてのことで、とても緊張してます。
Q.いろいろな登場人物が出てきますが、曲の中で好きな部分はありますか?
A.私はじっちゃんが好きなんですよ。うまくムードが伝わるといいなと思います。

2、アナウンサーの仕事について

Q.アナウンサーになろうと思った動機は?
A.始めは全くアナウンサーを目指していた訳ではなかったんです。放送の仕事がしたくて、南海放送を受けたのですが、当時アナウンサーの募集しかなかったのです。「お前はタフそうだからアナウンサーに向いている」と言われました。アナウンサーというこだわりはなくて、どんな仕事でも楽しんでできると考えていました。
Q.アナウンサーって体力がいるんですか?
A.取材で歩き回ったり、勤務時間が不規則なので休日もいつになるか分からないのです。以前「もぎたて」の前日、夜中の3時までナレーションを読んでいて、翌朝本番という時もありました。
Q.楽しい点はどんなことですか?
A.仕事として同じ仕事は二度とないんです。ニュースを読むのでも毎日違いますし…あと、いろいろな人に出会えて、そのことを媒体を通じて他の人に伝えるという喜びがあります。
Q.本番の緊張感を克服する方法がありましたら教えて下さい。もしかしたら緊張されないかも…
A.一番は慣れることです。第一声をゆっくりと出し、うまくいくと後はのってきて落ち着きます。

3、永江さん個人について
Q.ご家庭をもたれていて子供さんもいらっしゃるそうですが、お仕事との両立はどうなさっていますか?
A.子供の方が両親の生活パターンに合わせてるって感じです。こんなもんだと思っているので、夜、急な仕事で出掛けるときも、「行ってくるよ」というとただ「ふ〜ん」と言うだけで何とも思ってないみたいです。
Q.休日は子供さんと過ごされるのですか?また趣味は何ですか?
A.子供とは休日が合わないので専ら掃除、洗濯、買い出しに追われています。最近はソーイングに凝っていて、子供の服を縫っています。
Q.「もぎたてTV」でいろいろな食べ物を召しあがっていますが、個人的にお好きな食べ物はなんですか?
A.甘いものに目がないんです。特にケーキ。食事のかわりにケーキでもいいんですけど、現在はダイエット中で我慢しています。ディレクターからもストップがかかっていますので…あと、スイカが好きなのでこれからの季節が楽しみです。
Q.オーケストラについて、何か好きな曲、好きな楽器、やってみたい楽器はありますか。
A.チャイコフスキーの美しいメロディーにはぞくっとします。楽器は打楽器がやってみたいです。 以前やっていたクラリネットはブラスバンドではたくさんいるので、一人一つの楽器がいいなと思います。緊張感もあるので…

4、演奏会に向けて

Q.抱負をお聞かせ下さい。
A.CDをいろいろ聴いてみましたけどそれぞれに個性があるので、愛響らしいピーターと狼ができるといいなと思います。私も本番にベストの状態で臨めるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

もぎたてテレビと同じ様な話し方で、とても気さくで明るい方でした。最後には、「愛響はいつも指揮者がかわりますが、どうしてですか」等、いつもの様にインタビューを受けてしまいました。凜太郎君のお相手もしていただきながら、本当に楽しい一時でした。

 (担当:Obパート竹田、嶋谷、永野、岩田、三好+凜太郎くん(9ケ月))


「はじめまして!!」
新入団員の方に登場願いました。

@愛響に入ったきっかけ、楽器経験、職業等を教えて下さい。
A愛響の印象、好きな曲など、何か一言お願いします。(インタビュー:大野(Fg))


薄墨 昌澄(うすずみ しょうちょう)さん  オーボエ

@河野国光団長のおさそいで入団しました(お父様と団長が知り合いだとか)。楽器は大学で4年、大津管弦楽団で7年吹いていました。現在、天台宗常信寺の副住職をやっています。

A愛響はちゃんと練習をしているという印象をうけました。どんな運営組織があるのか詳しく知りたいです。好きな作曲家というのは特になく、曲が良ければなんでも…好き嫌いはあまりありません。





清水 ひとみ(しみず ひとみ)さん  クラリネット

@高校時代の恩師、森田功先生の誘いで、大学卒業をきっかけに愛響へ入団しました。楽器は中学1年から、愛大響で4年間吹いていました。現在は7月の教員採用試験(中学)を受ける予定で準備中です。

A愛響は音楽のレベルが高くて不安です。好きな作曲家はチャイコフスキー、ブラームスで、ブラームスのシンフォニーをやってみたい! ずっと続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。




大島 貴浩(おおしま たかひろ)さん  ホルン

@広島県出身です。ホルンは中学から吹いています。愛媛大学交響楽団や愛媛ブラスアンサンブルでご一緒した岸さんに誘われて、愛響に入団しました。毎週、大西町から通っています。

A愛響の印象ですか?そうですね、弦の厚みがあって驚きました。学生オケとは違いますね。え、ホルンパートの印象ですか?楽しいですよ。

好きな曲は…なんでしょうかねえ。マーラーの9番とか、ブラームスのシンフォニーが好きですね。

        



川野 真由美(かわの まゆみ)さん   トランペット

@中学時代の恩師河野伸明先生と河野邦明さん両氏のおさそいにより、愛響に入団しました。楽器は12歳から15年間吹いています(こう書くと年齢がばれてしまいますね)。四国フィルで吹いていました。伊予銀行松山駅前支店に勤めています。預金してください。

Aケーキはラ・ブランシュ(松山市南江戸2丁目)がおすすめです。







山村 憲幸(やまむら のりゆき)さん  バイオリン(1st)

@大阪の出身です。バイオリンを小学1年生くらいから弾いていました。途中大学4年間含め13年のブランクがありました。転勤で神戸から松山にやってきて、なにか楽器をと思っていたところ愛響の定演開催を知り、聴きにいきました。その後愛響ホームページにアクセスして、北川さんに連絡しました。

A楽器は久しぶりなので、指が動かなくて…イタリア綺想曲は前に演奏したことがあるのでなんとかなりそうです。やってみたい曲はブラームス、ベト7、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番。特にラフマニノフは、中学入学後の定期演奏会で聴いてオーケストラに入りたいと思った曲なんです。最後に一言。「飲み会大好き!」


道下 仁朗(みちした まさあき)さん  チェロ

@北海道出身です。大学まで北海道で、大学院は神戸で過ごしました。就職(松山大学経済学部講師)で松山にやってきました。松山にもきっとオケがあるだろうと思い、インターネットで検索して愛響のホームページをみつけて、北川さんに連絡しました。

A楽器は大学入学後弾いていなくて、6年間のブランクがあるので、苦労してます。やってみたい曲はリヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」です。社会人オケは初めてですが、とてもおもしろいですね。みんな初見で弾いてしまえるのが、驚きです。最後にこれ書いてください。「お酒、大好き!」




「あの人は、今…」
元愛響団員の採田さんご夫婦に投稿していただきました。

皆様、お元気ですか。早いもので、松山を離れてから8か月になります。愛響での私達の最終の舞台が昨年のサマコンでしたから、もう次のサマコンの本番が近づいていることを思うと、月日の流れの早さを実感します。5年間の松山での生活は私達にとって、忘れがたく、大相撲が始まると玉春日の活躍が気になったり、春の高校野球では、今治西と大阪代表の関大一高の試合で、どっちを応援しようかと真剣に迷ったり、松山は私達の心のふるさとになっています。

さて、私達は、この4月から伊丹シティフィルハーモニーという伊丹市の市民オーケストラに入って、オケ活動を再開しました。入団にはオーディションがあり、見事トップ合格しました!(なーんて、ベースは一人でした。ちゃんちゃん)このオケは伊丹市にあるクラシック専用ホールの専属オーケストラで、本番はもちろん、練習も毎回ホールで行うという、恵まれた環境にあります。団費もなしということで、我が家の大蔵大臣もホッとしています。オケのメンバーの平均年齢はぐっと若く、バイオリンではナンバー2に位置しています。愛響でいえば三好さんといったところでしょうか。若い人たちと弾くのも楽しいのですが(今度の本番では高校生の男の子とプルトを組みます)、愛響でのおばあちゃん、娘、孫三代で弾くのも楽しかったなあと懐かしく思っています。ちなみに、ベースは例外でおっちゃんばっかりです。(井伊ちゃんでいいから、おいで)このオケは伊丹市営ということで、演奏会の数が非常に多いようです。定期を中心に、ファミリーコンサートや市民オペラなど市主催の行事もあります。曲がたくさんあって、練習するのが大変です。

とまあ、こんなオケ生活をおくっています。

以上とりとめのない文章になってしまいましたが、最後に愛響の皆様の益々のご活躍を遠く伊丹市よりお祈りしてま〜す。(採田 賢志(Cb)・博恵(Vn))


 編集後記
「かのん」の編集を通じて、北川さん(Vn)のお作りになった愛響HPを見て入団された方が増えていることを知りました。改めて「感動」!次は金管パートです。よろしく! あ〜疲れた。(担当:西山・岩田・山崎・大野)


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