名盤道場 by 安井 直子さん(Vn.)
今月の一押し:「クナッパ―ツブッシュ/ワーグナー名演集」(ロンドン 230E 51020)
私的に「これは名演ダッ!!」と思うものはいろいろあるのですが、最近すっかり社会生活から遠ざかっていて、ただでさえボキャブラリーが貧困なのに今はより以上に表現力が乏しくて、そのCDがどれほど素晴らしいものなのか皆さんに伝える事はとてもじゃないができません。なので、皆さんの多くがご存知で(以前の演奏会でやりました)「これはとにかく名演!」と太鼓判の曲が入ったこのCDを選びました。<名演集>であって<名曲集>ではないので、メジャーな「タンホイザー」序曲とか「ヴァルキューレの騎行」とかは入ってません。でも指揮者クナッパ―ツブッシュの凄さを知るには良いCDのようです。ようです、というのはワーグナーもこの指揮者も好きなんですが、ワーグナー作品自体や他の指揮者の演奏をしっかり聞き込んでいるわけではないので、比較してどうこう言えないのです。でも最後の<イゾルデの愛の死>は本当に凄いです。オケと歌が一体になった音の渦に飲まれます。私は聞く度に鳥肌が立ちますし泣いてしまいます。聞き終えたら生気が抜かれちゃっているので普段はあんまり聞きません。楽しいドライブになんて絶対持って行ってはいけません。この演奏を指針にしてしまうとちょっとくらいだと物足りなく聞こえます。
3年前アバドとベルリン・フィルといういかにも高そうな「トリスタンとイゾルデ」全幕モノに行きました。まずいつものオペラと微妙に違う客層(BPO大好きみたいな2〜3人連れのお兄ちゃんが多い)に驚き、初めて男性トイレに長蛇の列ができているのを見てまたびっくり。最後の<愛の死>が始まる前の客席の息を飲む音(本当に聞こえた)、終った後の長い長いしつこいくらい本当に長い静寂。自分の耳がおかしくなってしまったかと思いました。まさしく水を打ったような感じ。これほど長い静寂も初めてでした。こんなどうでも良いことばかりが印象に残ってしまうほどオペラの内容が悪かったわけではありませんが、ビルギット・ニルソンが歌う<愛の死>が頭に残りすぎていたのが、せっかくのライブを最後まで堪能できかった原因の1つであるようです。(でも多分客席独特の雰囲気に飲まれたせいだとも思う。オケ自体が超メジャーな公演をあんまり観てないから・・・)
次号は家木 真一郎(Cl.)さん(予定)です。乞うご期待!〆切は7月13日。原稿はeメールまたは7.5×13cm(ワープロ打ち)。
次次号は、ひみつです。提出は安井記者まで。よろしくお願いします!
食の小部屋 by 勝尾 知恵さん(Vn.)
最近、巷では「デパ地下」や「ホテいち」のお惣菜が人気ですが、皆さんがよく食べるものは何ですか?我が家の食卓を思い浮かべてみると・・・何だかとても普通、ごくごくありふれたものが多いです。その日の献立はほぼ私の一存で決まるので、ということは、つまり、私の好みと料理のレパートリーがごく普通なんですね、きっと。ちなみに好きな副菜は、切干大根、ひじき、卯の花、きんぴらごぼうなどなど。(書き並べると、年寄りじみているようで、ちょっと恥ずかしいですが)でも、ちょっと考えてみると、こういうお惣菜は実家でよく食卓に登場していたものなのです。食べ物の好みは、やはり家の(母親の)好みに影響されるようです。
ところで、私は結婚するまでずっと親元にいたため、あまり自分で料理することはありませんでした。せいぜい休日に手伝う程度。それが、突如、ほぼ毎日3食作ることになったのですから、さぁ大変という感じでした。もともと料理は好きなので、作ることは苦にならないのですが、献立が浮かばない状態でした。最近は、だいぶ「実家」の色合いも薄くなり、「自分なり」のメニューや料理法が増えてきたように思います。
基本はシンプルな料理。シンプルと言ってもいろいろな意味がありますが、素材そのものの味を味わうこと。我が家は野菜をよく食べるのですが、おひたしにしたり、薄味で煮たりして食べます。あとは旬のものを食べること。以前に聞いた話では、旬のものというのは、その季節の気候に適して育ったものなので、味も良くて栄養価も高いそうです。野菜について言えば、使う農薬などの量も少なくて済むそうです。そう言えば、横浜に引越ししてきた当初、近所のスーパーで買った野菜がおいしくなくて、驚いた記憶があります。それ以後おいしい野菜を探して、最近は有機栽培の野菜の宅配を利用しています。これがなかなかおもしろくて、1回に届く野菜の数は決まっているものの種類は決まっておらず、その時に収穫できた野菜が届きます。箱を開けるまで中身はわかりません。1年ほど利用しているので、最近は届く野菜のサイクル(まさに旬がいつかということ)が何となくわかるようになりましたが、時々、自分ではなかなか買わないだろうなぁと思うものが届いたりします(セリとかターツァイとか)。料理は基本的には和風ですが、夏は、ナス、トマト、ズッキーニ、セロリなどがよく届くので、少しイタリアン風になります。これからの季節はラタトゥイユがおすすめです。トマトの酸味が効いた、イタリア風野菜の煮込みという感じでしょうか。野菜を適当な大きさに切って炒めたら、あとは蒸し煮のようにして、味を調えるだけ(きちんと作りたい人は料理の本を見てくださいね)。水は加えず、野菜から出る水分だけで煮ます。熱くても冷やしても、パスタにからめたり、ソテーに添えたりしてもおいしいですよ。
さて、長々と思いつくままに書いてきてしまいましたが、う〜ん、「食の小部屋」にふさわしい内容だったのでしょうか?そうそう、最後になりましたが、料理の得意な方がいましたら、ぜひレシピとか教えてくださいね。
次号は春川 孝志(Tb.)さん(予定)です。乞うご期待!〆切は7月13日。原稿はeメールまたは7.5×13cm(ワープロ打ち)。
次次号は、ひみつです。提出は森村記者まで。よろしくお願いします!