紙谷一衛(かみやかずえ)

15歳から斎藤秀雄氏に指揮法を師事する。19歳で指揮者としてデビュー、 また同年より斎藤秀雄指揮教室助教、1966年より桐朋学園大学指揮科および オーケストラ講師となり、音楽教育面でも活躍、1977年より東京音楽大学指 揮科助教授となって更に指揮者の育成に力を注ぎ、現在に至るまで門下生よりコ ンクール優勝者を含む多数の優れた指揮者を輩出させている。またこの間195 7年より考えるところがあって指揮活動を一時中断し、東芝EMIレコーディン グ・ディレクターとなって多数のレコーディングを手がけたが、この際西欧音楽 界との交流を通して日本人の演奏が技術的にのみ評価され、音楽的には実は全く 軽侮されている実状にじかに触れ、国際的に真に評価される音楽表現を追及する 目を持つに至った。その結果その後の指揮活動と教育活動においては技術は音楽 的表現の道具であり、音楽表現の目的の正しい把握とその表現の成果こそを問う べきという姿勢を常に貫いている。国内での指揮活動のほか、特に西欧での演奏 は常に好評をもって迎えられており、1988年旧西独でのフィルハーモニア・ フンガリカとの演奏会をはじめドイツ、イギリス、フランス、ロシア、アメリカ 等での演奏会はいずれもまたとない絶賛を浴びた。

1981年より東京楽友協会交響楽団の指揮者として同オーケストラの発展 に献身的に貢献、今回の演奏会で就任15周年となる今年、その功績を称えて桂 冠指揮者として就任していただくことになっている。

[1996 7/28 創立35周年記念特別演奏会プログラムより]

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