シューベルト:交響曲第8番「未完成」
 「未完成」。…交響曲のもつ“完成”されたイメージを覆す、この意味深な言葉の響きに、想像力を掻き立てられます。  この交響曲が2楽章までで中断されて終わった理由は、一説では二つの楽章があまりに美しかったために作曲の筆を置いたと言われていますが、その真偽は永遠に謎のままです。  人生の葛藤や苦しみを回顧しながらも、その魂は安らかな浄化の時を迎えます。「未完成」は、結実することなく中断されて終わる定めの、儚い人生の走馬灯なのでしょうか。