シベリウス:交響曲第1番
 「フィンランディア」誕生と同年の1899年。新しい世紀の変わり目にシベリウスが産み出した交響曲第1番は、ドラマティックな感動を呼び起こす屈指の傑作です。  森と湖に覆われた北欧の国・フィンランド。大気の振動のような繊細さと、大地のうねりのような大胆さを兼ね備えた、斬新な響きが織りなす、一遍の叙事詩。  澄みきった空気の中、氷の大地を滑空するような飛翔から、心は幻想世界へと羽ばたいてゆきます。森の奥深くから聴こえる精霊のささやき。雷鳴が轟き、湖に巻き起こる激しい嵐。闇夜に輝く幻想的なオーロラ…。さまざまな音風景を駆け抜けていく夢幻の旅は、弦楽器のピッツィカートの熱く切ない響きによって、終わりの時を迎えます。