第138回定期演奏会
〈本番までの歩み〉
第134回定期演奏会以降、新型コロナウィルス蔓延により無観客の演奏会が続き、部活動に対して各々が不安を感じていた。特に卒団を迎える4年生は定期演奏会を有観客で行いたいという思いが強かったため、学校側と綿密に相談を重ねながら有観客とオンライン配信での演奏会実現を目指すこととなった。
例年通りであれば夏合宿から冬の定期演奏会の練習が開始されるが、感染対策のため2021年度は中止となった。9/12に開催したファミリーコンサート後に定期演奏会の練習が開始されたが、本番の1ヵ月前までは全体練習は行えず学校側から許可されたセクションやパートごとに分かれた練習のみ実施した。
コロナ禍の影響は練習方法のみに及ばず、運営にも大きな変化を与えた。例年であれば、演奏会に向けた選曲や当日運営について部室で集まり話を進めていく形態であったが、世間のリモートワークが流行したように会議はすべてオンラインで行うこととなった。Z世代と呼ばれる私たちにとってシステムに慣れることは容易かったが、on/offの切り替えが難しいオンライン会議は部員同士の友情を育むには適していないと強く感じていた。2021年度は部活動に参加する上でのガイドラインで友人との会食は学校側から禁じられていたため、少しでも部員の絆が深まるようにリモート飲み会やオンラインゲームをおこなった。このようなコロナ禍ならではの親睦の深め方も、今後染状況が緩和すると耳にしなくなると思うと安堵しながらも少しさみしい気持ちになる。
毎年11月にはOBOGの皆様との合同コンサートも開催されるが、2021年度は昨年度と同様にご卒業後の皆様の学内に立ち入っての活動が難しいことを鑑み中止という決断に至った。オンライン上ではあるが、OBOGの皆様にも活動等についてご相談させていただき、在学生が厳しい中でこそOBOGの皆様のお力添えに助けられたと感じた。
演奏会1ヵ月前の1/8、部員一同待ちに待った客演指揮者の井村誠貴先生ご参加の全体練習が開始された。初めての全体練習、ご協演で全体の緊張が張り詰めていたが、部員に寄り添ってくださりつつ、熱いタクトを振っていただき刻一刻と本番が近づいていることを心から実感した日となった。
しかし、本番が迫る2/1、出演者にコロナ陽性者がでてしまい突如部活動が停止となった。感染者数が一向に収まらない中、常に覚悟していた事態ではあったがかなりうろたえてしまった記憶がある。学校側の定めた独自の濃厚接触者の規定から、100名以上が濃厚接触者となり練習はおろか本番実現も厳しい状況となった。その後学校側での調査により、該当する陽性者や濃厚接触者と判断された部員全員がなんとか定期演奏会に参加することが可能となった。
定期演奏会開催が許されたことに安堵を覚えたが、練習時間の少なさや今後の雲行きに私自身落ち着かない自宅待機期間だったことを鮮明に覚えている。その後2/6に練習が再開し、練習予定にはなかったが急遽井村先生にご指導いただくこととなった。井村先生は短い期間の中でも部員や関オケの音楽に真摯に向き合ってくださった。先生からいただいた言葉の一つ一つで、さらにモチベーションと温度感が高まったことを感じた。これまで失われてしまった練習時間を取り戻す勢いで一層練習に身が入った。
〈演奏会当日〉
本当に恥ずかしいことなのだが、急に演奏会が中止になってしまうのではないかという根も葉もない心配で前日に十分睡眠が取れなかったこともあり、細かいスケジュール感が記憶にない…。演奏会前日に眠れないのは定例のことなのだが、おそらく滞りなくゲネも設営も進んだことと記憶している。定期演奏会ではいつも力を尽くしてくれる渉内係だが、コロナ禍で初めての有観客の演奏会だったこともあり、例年より多くの準備に知恵と時間を割いてくれた。入念な準備をしてくれたおかげで、円滑に当日を迎えることができたことを本当にありがたく思う。
開場後、舞台袖の扉の窓からこっそりとたくさんのお客様が着席されているのを見て「やっと夢を叶えられたのだ」と思いがあふれ既に目に涙が滲んでしまった。開演前には井村先生がプレトークをしてくださり、コロナ禍での部活動の苦労や曲目についてお話してくださった。井村先生とお会いしてまだ1ヵ月という期間だったが、先生が関オケに多大な愛をもってくださっていることを感じご協演できる嬉しさを噛み締めた。
またも恥ずかしいことを白状するが、私は音楽の良し悪しがあんまりよくわからない。ので、当日の出来が技術面でどう優れているかは記せないが、間違いなくホールにいた全員が心振るわされる演奏だったと自信をもっていえる。大勢と音楽ができることを噛み締めながら音楽を奏で、2021年度活動の終止符となった。
悔やむことながら、部員全員で当日を迎えることは叶わなかった。日々の練習、コロナ禍での運営、実現できなかった本番、思い出すと未だに胸が締め付けられるような記憶は数知れない。でもそれと同じように、舞台から望んだ数え切れないお客様と長くやむことのなかった喝采は一生忘れない。たくさんの仲間が辛い制限の中で関オケを信じてくれて、一緒に最高の景色を見れたことを誇らしく思った。かわいそうな大学生活だったといわれるが、山は高ければ高いほど登りきったときの景色は美しい。音楽をしていて、オケに入部して、こんなたくさんの仲間に出会えて本当に良かったと心の底から思えた経験は私の人生の宝物だ。
(105期 M.N.)
〈本番までの歩み〉
第134回定期演奏会以降、新型コロナウィルス蔓延により無観客の演奏会が続き、部活動に対して各々が不安を感じていた。特に卒団を迎える4年生は定期演奏会を有観客で行いたいという思いが強かったため、学校側と綿密に相談を重ねながら有観客とオンライン配信での演奏会実現を目指すこととなった。
例年通りであれば夏合宿から冬の定期演奏会の練習が開始されるが、感染対策のため2021年度は中止となった。9/12に開催したファミリーコンサート後に定期演奏会の練習が開始されたが、本番の1ヵ月前までは全体練習は行えず学校側から許可されたセクションやパートごとに分かれた練習のみ実施した。
コロナ禍の影響は練習方法のみに及ばず、運営にも大きな変化を与えた。例年であれば、演奏会に向けた選曲や当日運営について部室で集まり話を進めていく形態であったが、世間のリモートワークが流行したように会議はすべてオンラインで行うこととなった。Z世代と呼ばれる私たちにとってシステムに慣れることは容易かったが、on/offの切り替えが難しいオンライン会議は部員同士の友情を育むには適していないと強く感じていた。2021年度は部活動に参加する上でのガイドラインで友人との会食は学校側から禁じられていたため、少しでも部員の絆が深まるようにリモート飲み会やオンラインゲームをおこなった。このようなコロナ禍ならではの親睦の深め方も、今後染状況が緩和すると耳にしなくなると思うと安堵しながらも少しさみしい気持ちになる。
毎年11月にはOBOGの皆様との合同コンサートも開催されるが、2021年度は昨年度と同様にご卒業後の皆様の学内に立ち入っての活動が難しいことを鑑み中止という決断に至った。オンライン上ではあるが、OBOGの皆様にも活動等についてご相談させていただき、在学生が厳しい中でこそOBOGの皆様のお力添えに助けられたと感じた。
演奏会1ヵ月前の1/8、部員一同待ちに待った客演指揮者の井村誠貴先生ご参加の全体練習が開始された。初めての全体練習、ご協演で全体の緊張が張り詰めていたが、部員に寄り添ってくださりつつ、熱いタクトを振っていただき刻一刻と本番が近づいていることを心から実感した日となった。
しかし、本番が迫る2/1、出演者にコロナ陽性者がでてしまい突如部活動が停止となった。感染者数が一向に収まらない中、常に覚悟していた事態ではあったがかなりうろたえてしまった記憶がある。学校側の定めた独自の濃厚接触者の規定から、100名以上が濃厚接触者となり練習はおろか本番実現も厳しい状況となった。その後学校側での調査により、該当する陽性者や濃厚接触者と判断された部員全員がなんとか定期演奏会に参加することが可能となった。
定期演奏会開催が許されたことに安堵を覚えたが、練習時間の少なさや今後の雲行きに私自身落ち着かない自宅待機期間だったことを鮮明に覚えている。その後2/6に練習が再開し、練習予定にはなかったが急遽井村先生にご指導いただくこととなった。井村先生は短い期間の中でも部員や関オケの音楽に真摯に向き合ってくださった。先生からいただいた言葉の一つ一つで、さらにモチベーションと温度感が高まったことを感じた。これまで失われてしまった練習時間を取り戻す勢いで一層練習に身が入った。
〈演奏会当日〉
本当に恥ずかしいことなのだが、急に演奏会が中止になってしまうのではないかという根も葉もない心配で前日に十分睡眠が取れなかったこともあり、細かいスケジュール感が記憶にない…。演奏会前日に眠れないのは定例のことなのだが、おそらく滞りなくゲネも設営も進んだことと記憶している。定期演奏会ではいつも力を尽くしてくれる渉内係だが、コロナ禍で初めての有観客の演奏会だったこともあり、例年より多くの準備に知恵と時間を割いてくれた。入念な準備をしてくれたおかげで、円滑に当日を迎えることができたことを本当にありがたく思う。
開場後、舞台袖の扉の窓からこっそりとたくさんのお客様が着席されているのを見て「やっと夢を叶えられたのだ」と思いがあふれ既に目に涙が滲んでしまった。開演前には井村先生がプレトークをしてくださり、コロナ禍での部活動の苦労や曲目についてお話してくださった。井村先生とお会いしてまだ1ヵ月という期間だったが、先生が関オケに多大な愛をもってくださっていることを感じご協演できる嬉しさを噛み締めた。
またも恥ずかしいことを白状するが、私は音楽の良し悪しがあんまりよくわからない。ので、当日の出来が技術面でどう優れているかは記せないが、間違いなくホールにいた全員が心振るわされる演奏だったと自信をもっていえる。大勢と音楽ができることを噛み締めながら音楽を奏で、2021年度活動の終止符となった。
悔やむことながら、部員全員で当日を迎えることは叶わなかった。日々の練習、コロナ禍での運営、実現できなかった本番、思い出すと未だに胸が締め付けられるような記憶は数知れない。でもそれと同じように、舞台から望んだ数え切れないお客様と長くやむことのなかった喝采は一生忘れない。たくさんの仲間が辛い制限の中で関オケを信じてくれて、一緒に最高の景色を見れたことを誇らしく思った。かわいそうな大学生活だったといわれるが、山は高ければ高いほど登りきったときの景色は美しい。音楽をしていて、オケに入部して、こんなたくさんの仲間に出会えて本当に良かったと心の底から思えた経験は私の人生の宝物だ。
(105期 M.N.)