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■指揮 広上 淳一 Junichi Hirokami

 東京に生まれ、東京音大指揮科に学んだ広上淳一が「第1回キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクール」に優勝したのは1984年9月、26歳の時であった。その審査員の1人だったアシュケナージは広上を特に高く評価し、翌年ピアニストとしてNHK交響楽団と協演した際には彼を指揮者に指名(広上のN響初協演)したほどである。
  86年以降、広上の世界への快進撃が始まり、フランス国立管弦楽団やベルリン放送交響楽団、コンセルトヘボウ管弦楽団、モントリオール交響楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ウィーン交響楽団などメジャーなオーケストラへの客演が展開されていった。91?95年にはノールショピング交響楽団(スウェーデン)の、98?2000年にリンブルク交響楽団(オランダ)の各首席指揮者を、97?2001年 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者を歴任、このうちノールショピング響とは94年に「来日」公演を実現している。この間、88年に日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会でマーラーの《交響曲第6番》を指揮し成功を収め、91?2000年にはその正指揮者をつとめて、96年の欧州演奏旅行を指揮したほか、R.シュトラウスの《英雄の生涯》やハイドンの交響曲など、多くの瑞々しく壮大な快演を残した。
  近年では、ヴァンクーヴァー交響楽団、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、ボルティモア交響楽団、シンシナティ交響楽団、カルガリー・フィルハーモニック、スタヴァンゲル交響楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ポーランド放送交響楽団、スロヴェニア・フィルハーモニー管弦楽団、サン・パウロ交響楽団等へ客演。2006/07シーズンからは米国のコロンバス交響楽団音楽監督に就任、初シーズン最後の定期演奏会では「マエストロとオーケストラによる神々しい演奏は、聴衆から信者たちを創造、広上の時代が始まった!」と絶賛された。
  2007年夏にはサイトウ・キネン・フェスティバル松本に招聘され、ハイドンとラフマニノフのプログラムで絶賛を博した。
オペラ指揮の分野でも89、90年のシドニー歌劇場におけるヴェルディの《仮面舞踏会》や《リゴレット》が高く評価されたのをはじめ、最近では藤原歌劇団公演《椿姫》、関西二期会公演《フィガロの結婚》、日生劇場《後宮からの逃走》、《利口な女狐の物語》が記憶に新しい。
  2008年4月より京都市交響楽団常任指揮者に就任。