このページを閉じる

メゾ・ソプラノ 加納 悦子 Etsuko Kano

 東京芸術大学大学院を修了後、ドイツ国立ケルン音楽大学で声楽を学ぶ。同大学在籍中にケルン市立歌劇場のオペラスタジオ研修生となり、94年から同歌劇場の専属歌手として契約。
 1995年ザルツブルグ国際モーツァルトコンクール声楽部門2位入賞。
 ケルン歌劇場ではジェームス・コンロン等の指揮で『フィガロの結婚』のケルビーノ、『蝶々夫人』のスズキ、『ヘンゼルとグレーテル』のヘンゼルなど40以上の演目に出演。
 ヨーロッパの他の歌劇場では、ドイツ・シュトゥットゥガルト国立歌劇場、シュヴェツィンゲン音楽祭、ベルギー・フランドルオペラ、オランダ・ロッテルダムのゲルギエフ・フェスティヴァル、スイス・ザンクトガレン歌劇場などに出演し、ヘンデル『アルチーナ』のルッジェーロ、『コシ・ファン・トゥッテ』のデスピーナ(指揮 ルネ・ヤコブス)、また、ウルマンの「アトランティックの王」などの現代オペラにも出演。
 コンサート活動は、ヨーロッパを中心にルビアナ放送響とのマーラ−「千人の交響曲」、ミラノ放送響とのモーツァルト「レクイエム」などのアルトソロ、また日本ではルネ・ヤコブス指揮バッハ「ロ短調ミサ」の第2ソプラノソロを歌った。97年ザルツブルグ音楽祭で、ハイドン「聖ミサ」のソロを歌っている。
 NHK交響楽団とはシャルル・デュトワ、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、ドビュッシー「選ばれた乙女」、グリーグ「ペールギュント」、ブルックナー「ミサ」などのソロで98年から3シーズン連続共演。
 2002年には、3月東京でモーツァルト・グランド・ガラに出演し、G.アルブレヒト指揮プラハ室内管弦楽団と共演、9月新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートオペラ『ナクソス島のアリアドネ』(井上道義指揮・演出)で作曲家役を見事に演じ、喝采を浴びた。また、10−11月には読売響創立40周年記念『パルジファル』オペラ公演(G.アルブレヒト指揮)に花の乙女役で出演。
 2003年秋にはN響定期で「大地の歌」を歌い、内面を深く掘り下げた音楽性が近年稀に見る演奏と高い評価を得た。また日生劇場開場40周年記念/二期会共催公演『ルル』では主要3役をこなし、柔軟性ある演技が絶賛された。
 2004年には新国立劇場公演ウルフ・シルマー指揮『エレクトラ』に第三の下女で、また2005年には同劇場小劇場公演『ザザ』に出演。
 最近ではこの5月に行われたG.アルブレヒト指揮による読響定期にて、読売日響委嘱作品「ここに慰めはない」(猿谷紀郎作曲)を世界初演、既に熟成された作品として披露するに至る演奏は絶賛を博した。また昨年からシリーズで取り組んでいるヴォルフの歌曲演奏会では、磨き抜かれた圧倒的な歌唱力で、日本に於けるリートの第一人者を確信する演奏を披露している。

二期会会員