第3回


第3章 高校オーケストラに入部(チェロの出会い)
 はれて、高校に入学した。相変わらず、徹くんとのつき合いは、続いている。彼も、無事、中学を卒業したが、中学浪人を決めていた。徹くんの自宅での鑑賞会は、その後、かれが、東京の大学にいくまで、ずっと続いた。
 ぼくは、オーケストラに興味があった。楽器の名前は、解説でしか見たことがなかったので、知らなかった。学校のオケ部室前の廊下で、レコードジャケットにあるオーケストラの楽器を見た瞬間、立ち止まってしまった。そのとき、ある、3年生の部員の女性(Vln.某先輩)が「新入部員ですか。」と、ぼくに聞いた。ぼくは興味があったので、「楽器を見せてください。」と、言ったので、部室に入れてもらった。
 ファゴットや、オーボエや、ティンパニーや、ヴァイオリンを見せてもらった。「どれにする。」と、他の2年生の部員から言われ、「見に来ただけ」といえず、何も弾ける自身がなかったので、「余っていてすぐ弾ける楽器は、なんですか。」と、言うと、「そこの足元にある楽器は。」と、言って、ソフトケースに入った楽器を渡された。楽器の種類は、チェロだった。(チェロは、管楽器でなく、弦楽器であることを知った日でもある)
 そのチェロは、今から思うと、エンドピンを誰かが鉄の棒を差し込んで、固定してあって、移動には不向きで、何度も、歴代の若きチェリストが、落としたり、ぶつけたりして、割った後があった。音が鳴らない楽器だったと、思う。最初は、2年生の女性の先輩から、ボーイングを習い、2週間ぐらいして、音階を習った。ほんとは、楽器はよく鳴ってなかったと思うのだが、チェロの練習場所が鉄筋校舎の階段に近い廊下で練習するので、フロで歌うより良く響いた。「廊下の巨匠」になったのである。
 それから、1カ月後、一郎くんという、同級生が入ってきた。この時から今まで、音楽を学ぶための苦学を共にする、腐れ縁になるのだが、その時の挨拶は、それを予感させる挨拶で、最初から「やあ」。余談だが、つい最近も、ぼくと、かれとは、K市民楽団で、4度目の同じ挨拶を交わすことになる。


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