名古屋大学古楽研究会:The early music club of Nagoya University

3 古楽器紹介

バロック・ヴァイオリン baroque violin

バロック・ボウとモダン・ボウの写真による比較

古楽研のバロック・ボウ(上)とモダン・ボウ(下)の比較。「ボウ」とは弓のこと。

ヴァイオリンは16世紀に誕生して以来、各時代における要求に従い少しずつ変化してきました。

フランス革命(18世紀末)の後、西洋音楽が大衆化し大ホールでの演奏が増えたために楽器の大音量化が起こったので、17〜18世紀と19〜20世紀のヴァイオリンには顕著な違いがあります。前者がバロック・ヴァイオリンです。

古典派のヴァイオリンはクラシカル・ヴァイオリン、現代のヴァイオリンはモダン・ヴァイオリンと呼ばれます。ただもちろん、時代の境目で一斉にモデル・チェンジしたわけではないし、昔は現代以上に地域差や個体差がありました。

バロック・ヴァイオリンはその構造(短めのネックと平行な据付角度、短いバスバーなど)として絃の張力(テンション)が弱くなるように設計されています。

絃は20世紀からは金属線の巻線かスチール絃がよく使われますが、バロック時代では少なくとも4本中上2本は裸ガットでした。

中心のラ(A4)は現在は442Hzですが、バロック期には時代や場所によって392Hz、415Hz、460Hzなどバラバラでした。

弓は一見して分かるほど違います。モダン弓は逆反り(Σ字形)ですが、バロック弓は山なり(D字形)で全体的に軽く、重みのバランスも違います。バロック弓は絃のテンションとのバランスもよく、メッサ・ディ・ヴォーチェを始めバロック時代の多彩なテクニックにもよく合っています。


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