第14回定期演奏会
若葉シンフォニーオーケストラ第14回定期演奏会無事終了
 若葉シンフォニーオーケストラ(本拠地:千葉県千葉市若葉区 団長上田健一)は平成11年5月23日(日)に千葉市若葉文化ホール(千城台)で第14回定期演奏会を行った。舞台裏の様子を広報担当小口眞史の報告で皆様にご紹介する。

 5月23日は、まさに「五月晴れ」の表現がピタリとはまる晴天に恵まれた。抜けるような青空を自衛隊海難救助機が下総基地の催しに向かって爆音を轟かせながら低速で飛んで行く。爽やかな風が若葉を渡る一日の朝9時、若葉シンフォニーオーケストラのメンバーは直前練習のためにホールに集結し始めていた。弦楽器のチューニング音、木管のスケール、トランペットのフレーズがホールに交じり合う中で、前日体調を崩した私はまず客席で楽器ケースを開けて愛器をホールに慣らすことにした。この作業を怠ると、せっかくチューニングした楽器はバンっという大音響とともに弦が緩んでしまう。舞台裏を通り抜けてコミュニティーセンター建物で日本茶を買って、男性控室に向かいハンガーに礼服をつるしそのまま畳にへたり込む。まだまだ体調はもどらず疲労感が全身を襲う。冷たい日本茶で鋭気を養いながら、団長が控室の鏡の前でファゴットを組み立てていくのをボーッと眺める。350ccの日本茶をもってしても私の体力は回復したとは言い難く、「本番まで体力温存」を今日のモットーに決めてホールに練習に向かう。

 ホールに戻った私は楽器ケースの中身を見て、「んがぁっ!」我ながら声にならない悲鳴を上げてしまった。直前で体調も悪くて何の足しにもならないと知りながら昨日自宅で練習なんぞしたのが失敗だった。弦楽器を演奏するのになくてはならないもの、弓を家に忘れてきたのだ!すでにチューニング開始15分前である。もはや一刻の猶予もならない。とりあえずトップのところにすごすごと歩み寄り、「すみません。うちに弓を忘れたんで取りにいってきます(T_T)」と、報告したところ「あら、私のがもう一本あるわよ」と、うれしい申し出をしていただいた。この15年ほど、自分の弓以外で演奏したことがないので、不安が脳裏をよぎったが、自宅まで往復するだけで1時間はかかってしまう。体調が悪くて少々ユルい腹をくくって、ありがたく弓をお借りすることにした。試し弾きをしてみたところ、私の弓より軽い上にちょっと元弓バランス気味なので、飛ばしのコントロールさえできれば、なんとかなりそうである。

進行説明する副団長に惚れなおしている?ビオラトップ(妻)の図
ん〜メインレースは2枠から流すか...(手にしているのは決して競馬新聞ではありません)

 午前9時半、練習前に今日の進行連絡が進む。体調不良の私には念仏にしか聞こえてこない。(関係者のみなさん、ごめんなさい。)チューニングを済ませて、いよいよ練習がはじまる。 ファンファーレを後回しにして第一部の楽曲を一時間ほどでひととおり終えて、一旦10分ほど休憩になる。練習再開とともに金管とパーカッションがファンファーレを謳いあげる。

ファンファーレを奏でるトランペットグループ1
コンダクターからの指摘を受けるトランペットグループ2(おいおい、ちゃんと聴いてるの??)
響けっ!このロールで彼の心も×××.....
「あぁ、本番で落ちませんように」彼女達の祈りが聞こえるようだ(そんなことないですよね?)
弦と木管は日曜日の早起きを打消するべく寝てます。

 そして、弦のアダージオ、ロデオ、アンコールと予定より30分近く短めに練習は終了する。 わがビオラパートは最後までボウイングの修正を行い、後プルトまで最終決定ボウを伝える。(エキストラのかたがた、どーもすみません)

 練習が予定時刻より早めに終わったので、まだお弁当が届いていない。ホールのロビーでタバコを一服つけて、しばし他愛もない談笑にふける。そうこうするうちにお弁当も届き、再びお茶を購入して昼食をとる。食欲もあまり沸かず残そうかとも思ったが、お百姓さんに申し訳ないので無理やり詰め込んだら、やっぱり気分が悪くなってきた。持参した胃腸薬をデザートにして食事を締めくくる。控え室で礼服に着替えを済ませて、コミュニティセンター廻りをブラブラと散策する。冬用の礼服では歩くだけで汗が出るほどいい陽気だ。こんな好い天気で、お客さんはみんなどこかに遊びに出かけてしまっているのではないかと不安になる。ホール受付には団長や副団長も顔を出して、みんな落ち着かない様子だ。
落ち着かない様子の受付係(左)と副団長(どこがじゃ?)

 舞台上の片付けも済ませ、楽器を舞台袖に準備すると舞台に「お客さんを入れますので袖に下がってください」と声がかかる。開場時刻になったのだ。ホールで出て、聞きに来てくれた知り合いを探して挨拶しておく。今日は千葉マリンスタジアムで、松坂が投げているらしい。またまたお客さんがそっちに行くのではと、心配になる。舞台袖からチューニングの音が響いてくる。挨拶も早々に舞台袖に戻りあわててA音を合わせる。1ベルがホールに響く。袖からそっと覗くとお客さんの入りもまあまあだ。一曲目は金管のファンファーレだ。禁管楽器が袖に並び舞台に出て行く。舞台スポットライトが点灯し客席ライトが落ちる。開演時刻だ。拍手のあとの一瞬の静けさを、トランペットのファンファーレが切り裂いていく。なかなか良い出だしではないか。

そして、いよいよ私達の出番だ。ライトダウンしている舞台に、ぞろぞろと木管楽器を先頭に弦楽器が続いて出て行く。間を置かず副団長のMCが流れる。ビオラトップ(副団長の奥様です)が「どこでしゃべってるのかしら?」と私に問いかけてくる。舞台右にも左にも姿が見えない。「袖で話をしているんですかね?」と答えて見まわすと、なんと自分のホルン席でマイクを握っている。これには驚いた!指揮者が舞台に出てくる。再び舞台スポットライトが点灯し客席ライトが落ちる。明るく輝くスポットライトを背にした指揮者はいつ見てもかっこいい。このアングルだけはお客さんには味わえないものだ。指揮者の右手のタクトが上がる。バーンスタインのウェストサイド編曲版のアンダンテ・マエストーソがフォルテで始まる。

なお登場人物および名称は架空のもので実在する団体・人物とは一切関係ありません。ってわけないですよね。



そして打ち上げ
挨拶する団長
今日の演奏について指揮者より一言いただいています
そしてマリンオケのOさんの宴会芸へと、とてもご紹介できない状態へとなっていく私達でした。