≪愛響とわたし≫

愛響への想い  清家華子(ヴァイオリン)

「あなたにとって愛響とは?」ときかれたら、「私を夢中にさせるもの!私の生きがい!」と答えるでしょう。
 幼い頃から青楽好きの私は、両親のすすめで小学校の音楽の先生に課外でバイオリンを習いました。その後先生も変わりましたがずっとレッスンに通いました。結婚、戦争、子育てで中断しましたものの終戦後、夫が無事に復員し、下の子供が幼稚園に通うようになってからは、又ケースの蓋をあけるようになりました。
 そして昭和37年に松山交響楽団が出来てメンパーにしていただいた時は、合奏の喜びに胸がふくらむ思いでした。そして昭和46年には愛嬢弦楽合奏団、翌47年には、愛媛交響楽団(愛響)が誕生。迷わずメンパーに…。けれどもそのために家事がおろそかになっては家族に申し訳ないとの思いで、家事を手早くする習慣がつきました。次は、今は亡き舅との会話です。「おじいちゃん、愛響の練習に行ってきます。タ食の用意は出来ていますので…。」「華子さん、お漬物も出ていますか?」「ハイ、おいしい手作りのぬか味噌のお漬物も出してあります。」「では行ってらっしゃい。」週に一度の練習日と演奏会当日の食事作りには頭と体がフル回転。巻ずしやちらしずしもよく作りました。そして会場でオーケストラが始まりオーボエのAの音がひびき出すと、他の事は忘れて夢中になってしまいます。帰宅した頃には今は亡き夫も帰宅していて、会話もはずみました。家族一同が協力してくれたことは本当に幸せなことでした。コンサートの直前には不安と期待で相当緊張しますが、一たびタクトがふり下ろされるともう夢中です。難しいパッセージをごまかしたり音を間違えたりした時は、全身から冷や汗が出るようです。でも終わった時の開放感、満足感は何とも言えません。この次にはもっとよく練習しよう、と次の練習日には又出かけていますが、それの繰り返しで第1回から16年余りもたってしまい、今日、第16回目のサマーコンサートを迎えました。時々ラジオから流れる懐かしいメロディを耳にすると「あ!あれはあの時の曲、こんな思い出がある。」と一度演奏した曲は忘れることは出来ません。ライブラリアンのお手伝いで楽譜整理をしていると、その時々の思い出が甦ります。喜びも悲しみも愛響と共に歩んできた私です。アマチュアオーケストラは地域文化のパロメーターで社会の縮図といわれます。河野団長はじめ事務局その他幹部の方々のおかげで、プロの指揮者やソリストと共演できますのも嬉しい限りです。その方々をはじめ、ずい分多くの方々との出合い、心のつながりがあり、もう魅力がいっぱいです。現在のメンパーは殆ど私より若い方ばかりで、自分が独居老人であることも忘れがちです。かつての自分を見るようなメンパーの方には声援を送っています。これからも向上をめざし、美しい音色、ハーモニーへの願いもこめてずっと続けたいと思っております。今宵のサマーコンサートでは又夢中になって、生きがいを感じながら弾かせていただくつもりです。ご来場の皆様!!どうかお聴き下さいませ。


愛響に寄せて  井手浩一(会計事務所勤務)

おととしの冬に聴いた愛響のマーラーは素晴らしかった。はじまって5分位はオーケストラ全体がぎこちなかったけれども、そこからあとは緊張感が良い方に作用して、音楽に弾みがついていった。今夜はいい音楽が流れるに違いない。という暗黙の了解のようなものが会場全体を支配して、安心して曲にひたることができた。
 一度高い水準の演奏を聴くと、次からはそれが基準になってしまう。あのマーラー以上の演奏でないと物足りなくなる。あのあと二度愛響を聴いたけれども、十分には満足できなかった。メンバーは殆ど変わっていないようなのに、どうしてだろう。しかし、私自身が愛響というオーケストラに抱く愛着心そのものは少しも変化していない、いやむしろ強くなっているようだ。演奏会に出かけるとドキドキするし、不出来な演奏のまま終わってしまうと、ムシがおさまらなくてそのまま家に帰ることができない。2年ほど前までの愛響は、一口で言えばおっとりしていた。ブログラムそのものがやや保守的であったこともあって、上品で誠実な演奏だけれども、もうすこし生々しくやってくれないかなあ、とよく思ったものである。団の運営も、限られたメンバーの献身的な活動によって全体が支えられているという印象を受けていた。しかし、ここ一年余り愛響は変わりつつあるようだ。団の運営について、曲の選定について、練習方法についての議論が盛んなようだ。勿論間接的に耳に入るだけだけれども、確かにオーケストラを身近に、熱く感じる。70人以上もの大集団で議論がおこらないなど、かえってその方が不自然で、冷たいものを感じる。自分の街にオーケストラがある、ということは本当にいいことだ。私は市民会館の、特に二階の柔らかいふくらみのある響きが好きだが、いつも同じところに座って一つのオーケストラの変化を追い続けていくというのは楽しい。あるいは、同じオーケストラが違うホールでどう変わるか、ということを聴き比べるのも楽しい。いつも近くの席にすわる髪形がそっくりの三姉妹がいて、そのうちの一人が必ず演奏を録音している、そのお父さんが団員の一人である、などということが分かってくるのも楽しい。団員の中に何人かの友人がいる。みんな忙しい中を時間をやりくりして練習に参加し、運営を手伝っている。しかし、楽しそうであるし、やりがいも感じているようだ。音楽も、ただ聴くだけならベートーヴェンやモーツァルトやブラームスに憧れていればそれですむ。しかし再現に関わるとなると、そうはいかない。たとえば「西欧青楽のリズムは西欧人の発音と深いかかわり合いがある」というような恐ろしく無神経で残酷なことばと格闘しなければならない。であるから、お世辞は言いたくない。一回一回、試行錯誤をくりかえしていくところを見せて欲しい。そうして、近い将来に必ずあのマーラー以上の名演奏を聞かせてもらえるよう切望している。(愛響ファン)


より良い演奏を目指して 岩田裕子(オーボエ)

 愛響に入団してから今回のサマーコンサートでまる5年になります。私自身、子供の頃からピアノを習い、中学校からブラスパンド部に入りずっと音楽に関わってきましたので、愛響という存在はあこがれの的でした。このオーケストラに自分が入って演奏できるなんて夢のようでした。入団当時のことを振り返ってみますと、大学生であった私は毎週の練習の度に緊張し、なかなか思う様に演奏することができなくて、何度も辛い思いを経験しました。団員は、学校の先生やお医者様が多く、私にとっては目上の人ばかりでしたからなかなか話をすることもできなかったのです。ただ少しでも迷惑をかけない様に上手に吹きたい、うまくなりたいと思う気持ちでいっぱいでした。 1年くらいたった頃でしょうか。何かのきっかけで練習後食事に誘って頂き、団員の人達と話をする機会がもてました。以後、団員の人達と、その日の練習のことや音楽の話をするのがとても楽しみになりました。それまで情けないことに、同じオーケストラで演奏していながら名前すら知らない人も、話をしたことのない人も大勢いたのです。
 団員との交流がもてる様になってからは、私の演奏に対してもいろいろ指摘して頂き、とても勉強になります。私が学生時代経験したオーケストラは、先輩が後輩の指導をするというのがあたりまえでした。しかし愛響では、自分で考え周りの音をよく聞き、お互いがアンサンブルに気を付けていかなくてはいけません。もちろんトレーナーからいろいろ指導して頂きますが、細かい所はやはり自主性にまかされています。でもできればお互いに気の付いたことをどんどん指摘して頂きたいし、それでアンサンブルがうまくできて、より良い演奏ができればお互いに満足できるのではないでしょうか。
 私自身、何回演奏会を経験してもその度に緊張し、演奏前は、もう逃げだしたいと思う気持ちで一杯です。でも演奏をおえると、全員で一生懸命演奏したという感激と、次回こそは今回よりももっとうまく演奏したいと思う気持ちで、また今日もステージに上っています。やはりオーケストラが好きなんだなと自分自身実感しました。様々な年齢の人が、様々な考えをもった人が集まって、同じ曲を演奏する。それが1つにまとまることができた時、オーケストラって素晴らしいな、やっててよかったなと思います。もちろん良い演奏をするためには、普段の練習の大切さを改めて感じます。今日の演奏会がおわったらまた次回に向けて練習がスタートします。より一層良い演奏を目指して頑張っていきたいと思います。


オケする喜び  河野邦明(トランペット)

オーケストラは子供の頃からの夢でした。小学生の時からピアノを習い、中学、高校とブラスバンドに籍を置いたにもかかわらず、私の心はずっとオーケストラで演奏することだけを夢みてきました。大学を選ぶ時でも、大学案内を見てまず最初にオーケストラがあるかどうかを確認したほどです。なぜこれほどまでにオケに魅せられたのか、それはもう「カッコイイ!」の一言に尽きます。オケにおけるトランペットの役割は他種類のもの(吹奏楽やジャズパンド)に比べてずいぶん地味です。長い旋律を歌うことも滅多にないし、派手なアドリブで注目をひくようなこともありません。それでも私にとってはオケのラッパが最高にカッコヨク映ったし、その思いは今でも変わりません。オーケストラで演奏する楽しみはいろいろありますが、まず第一はハーモニーです。作音方法の違う様々な楽器が混然一体となって美しい響きが生まれた時の快感は、本当に何物にもかえ難いものです。それとオーケストラというのは、特に管楽器奏者にとっては演奏する楽しみとは別に、鑑賞する楽しみにも満ちています。自分が吹いていない時に他のメンパーの奏する音楽を聞けるなんてとてもぜいたくなことだと思います。おまけにオーケストラには沢山の種類の楽器がありますから全く飽きることはありません。私が愛響に入団したのは、大学を卒業以来5年間ほどオケから遠ざかっているうちに、むしょうに琳しくなってしまったからです。FMやレコードで音楽を聴いて楽しむだけではやはり満足できず、慢性的な欲求不満に陥ってしまいました。それまで自分が演奏に対してこれほどの愛着を持っているなんて思ってもみなかったのに…。無理を言って、既に10人以上ものトランペット奏者がいる中へもぐり込ませていただき、初めて練習に参加した時のことは、今でも昨日のことのようにはっきり覚えています。私は、その日都合で欠席された方の代理で、ベートーヴェンの「英雄」の2楽章を吹きました。私の最初の音が全体のアンサンブルに乗っかった時、私は震え出し、どうしても止まりませんでした。嬉しかったのです。この快感は本当にやみつきになります。私はなるべくたくさんの人にこの楽しさを知ってもらいたくて仕方ありません。愛媛県内には本当はやりたいんだけど、何となく愛響には近づきにくいと思ってる方が結構いらっしゃるんじゃないかな。愛響は純粋なアマチュア団体です。やってみたいと思う方を拒むいかなる理由もありません。ただ愛響も1つの団体です。団体に属する以上その団体としての目的達成のために、ある程度の制約を受けることは仕方がありません。例えば練習への出席、また団費の納入とチケットのノルマetc…。これらは団を運営していく上でどうしても欠かせないことです。愛響は現在こうした団員としての基本的な責任の負担についてきびしい姿勢をとる方向に変化しています。今までのごく一部の団員にかかっていた過大な負担を少しずつでも全員が分かち合おうということで動いています。理事会も事務局もすっかり若返りました。団規約も改正されました。すっかり新しい状態からのスタートですので、当然暗中模素に陥りがちですが、何とか今までの伝統と若い熱気でそれをしのいでいます。この若返った愛響で音楽をやってみたいと思ってらっしゃる皆さん。どうぞ1度練習場へお越し下さい。そしてオケする喜びを味わってみて下さい。一緒にやりましょう!なお最後になりましたが、愛響では最近、飲み会が増えております。
(愛響宴会部長)

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