岩井理事長あいさつ(2003年6月 第30回サマーコンサートプログラムから)
ごあいさつ
愛響創立30周年記念行事を終え、創団以来の河野国光理事長が御自身の意向により退かれ、今後は名誉理事長として残っていただけることになりました。河野理事長は30年余、多忙な医師として、医師会の重鎮としての役をこなされながら、純粋な精神で音楽を愛し、愛響の父として団を創立され維持されました。団員を信頼され、運営は団員にまかせ、しかし、何回か訪れた団の危機に際しては迅速に断固たる対応をされ、今日の愛響を築かれたのであります。
今後は前理事長のモットーとした団員の和のもとに、演奏能力の向上と音楽性を高めることを目標とし、毎回聴いていただいている皆様の期待に応える愛響を目ざし、努力いたしたいと考えております。
愛響は昨年、創立30周年の節目を迎えました。この30周年記念のサマーコンサートの録音を聴いて私が非常にうれしく思ったことは、ヨハン・シュトラウスのワルツと、モーツァルトの39番の交響曲がなかなかそれらしく聴けたことでありました。ヨハン・シュトラウスのワルツは、親しみやすく、上品で美しいのですが、そのように演奏しようとすると実に困難であります。モーツァルトもそれ以上にむずかしい。私はその録音を聴いて、手前みそながら『30年経ってやっと愛響もここまで来たか…』という感慨を持ちました。団の運営に関しても、民主的な態勢のもとに、健全かつ着実なあゆみを続けていることを自覚しております。もちろん、今以上の技術的音楽的な向上を目ざして精進を続けるべきことは当然でありますが、30年経った今の愛響が私たちの創ったオーケストラであることを自負しております。そして創団以来、毎回私たちの演奏会に足をお運びくださる多くの方々、私たち愛響の活動に協力してくださる多くの方々に心からの感謝の意を表したく存じます。
父・渡邊暁雄先生の指揮のもと、康雄氏がピアノソロデビューをされたと同様、昨年の30周年記念定期演奏会において、康雄氏の指揮で長男の信一郎氏がバルトークのコンチェルトでヴィオラソロデビューを果たされました。今回のサマーコンサートも指揮が康雄氏に決まったとき、『バルトークをやろうよ』と言われたのをきっかけに今回のプログラムが構成されました。聞けば、バルトークの作品の日本初演の多くは暁雄先生の棒によるものとのこと。アマチュアが、ともすれば敬遠しがちになる近代・現代の作品のひもときをしてくださることに意を強くして挑戦する気になったのであります。思えば第10回定演に、ストラヴィンスキーのバレエ組曲『火の鳥」を思い切ってやりなさい、と言われたのは暁雄先生でした。
今回のプログラムのキーワードは『協奏曲』ということで、ピアノのアンドレイ・ピサレフ氏、ヴァイオリンの岩谷祐之氏をお迎えし、フルートは団員の塩見万記が担当します。御期待にそえる演奏会になると思います。31歳を迎えた愛響をお楽しみください
愛響理事長 岩井倫郎
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