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MEOは11月20日から28日までの8日間オーストリア演奏旅行に行ってまいりました。
ケルンテン州と首都ウィーンにて2回の演奏会を行ない、いずれも満場のお客さまに演奏を
聴いて頂くことが出来ました。
そして演奏会を主催していただいた方々との暖かい交流の場を持つことが出来ました。
ケルンテン州ウォルフスベルクはマインハルト・プリンツ先生の出身地であり、
地元のロータリークラブ主催の演奏会にMEOが出演すべくクラブのプレジデントを
紹介して頂いたことにより、現地との綿密な打ち合わせの過程により実現することが出来ました。
ウィーンの演奏会は、バンクオーストリアが後援する会員制の文化人のクラブ、
KULTURMITTAGを主宰される方にMEOの出演をアレンジして頂いた結果実現されたものです。
現地での演奏会の実現はすべてマインハルト・プリンツ先生、中田留美子先生のお力になるものです。
ご夫妻ならびに旅行計画にさまざまな形でご協力くださった方々に深く感謝いたします。
旅行の記録 Vc 三谷 暁
旅行は空路ウィーンに入りバスでグラーツに向かって同夜一泊、
翌日ケルンテン州ウォルフスベルクに入り演奏会をはさんで二泊、
再び同じ経路でウィーンに戻り演奏会をはさんで四泊し、空路
日本に戻るという経路をたどりました。
なおグラーツを出発する日の朝グラーツ市内を観光、ウィーンに
戻る途中にはアイゼンシュタットに立ち寄りエステルハーツィ城を
見学しました。
11月20日(土)
総勢40名のメンバーは11時50分発のANA 285便にてウィーンに出発しました。
ウィーンに同日の午後4時到着。入国手続き後、バスにてグラーツに向かいました。
グラーツのホテルに午後8時過ぎに到着。軽い食事を取ったのち各自部屋に入り床に就きました。
11月21日(日)
ホテルにて朝食を済ませたのち二時間ほどグラーツ市内を観光しました。
バロック、ロココ、ルネッサンス様式の混在する美しい建物の間をおもいおもいに散策した後、
急勾配のケーブルカーを登りシュロスベルクプラッツ(広場)から市内を一望しました。
シャーベット状に雪の積もった坂道に足元を取られながら山頂を散策ののち下山して
バスにてA2国道を一路ウォルフスベルクに向かいました。
グラーツ市内 シュロスベルクプラッツからの眺望
時の流れが止まってしまったようなグラーツの街角、これがオーストリア旅行の2日目の最初の
印象であった....。
A2国道は首都ウィーンとケルンテン州を結ぶ幹線道路です。
車窓からは、深く雪が降り積もった丘にドイツトウヒと呼ばれる針葉樹が一面に植樹された
見事な景観が続きました。逆光に照り映える丘にはときおり鹿が姿を現わします。
時折かなりの吹雪が続き、これから訪れるウォルフスベルクの天候が
思いやられました。それでも予定の午後2時にはウォルフスベルクに
到着することが出来ました。
市の入り口にはオオカミが天に向かって吼える塔が建っていて
「オオカミの山」という名前の由来を示しています。
人口2万6000の小都市のたたずまいは落ち着いて静かな第一印象でした。
レストランで食事休憩ののち、練習のためすぐに演奏会場となる市庁舎の
ホールに向かいました。
バスを降りてすぐに街角に私たちの演奏会のポスターが掲示されているのを見つけ、
オーストリアで2度目の演奏会をするのだという感慨がありました。
市庁舎は立派な建物でした。ホールは天井が高くて容積も広くかなり残響の多い
感じでしたが、音楽会場としての格調を感じさせるものがありました。
最初はいつもの音響と違うためやや戸惑い気味で違和感を感じながらの練習でした。
演奏会ポスター ウォルフスベルク市庁舎 ウォルフスベルク市祝祭ホール
夜はメンバー全員がプリンツ先生、中田先生とともにロータリークラブの方と
交流のためパーティ形式の食事をしました。北斎の富岳三十六景の版画が手渡され
なごやかな雰囲気にパーティーは進行して行きました。パーティー会場となった
レストランは小高い丘の上にあり、新雪の降り積もった急な坂道を車で送り迎え
して下さるなどの心暖かいもてなしに、一同感謝するとともに、明日の演奏でこれに
応えなければという決意のような気持ちも湧き起こって来ました。
演奏会前夜の歓迎パーティ
11月22日(月)
今日は演奏会の日で。午前中は自由行動、午後1時半からゲネプロがあり、その後休憩ののち夕刻から
本番というスケジュールです。
食事のあとおもいおもいに市内を散策したりして時を過ごしました。
ホテルから演奏会のある市庁舎までは歩いて10分足らずです。ショッピングモールの小道を抜けると
小さな河の向こう側に建物が見えて来ました。ルネサンス様式の立派な外観で周囲を圧倒しています。
市庁舎を過ぎ、クリスマスの近づいたショップの楽しげな飾り付けを眺めながら歩みを進めました。
ふと見るとガイドブックで良く見た、シュロスウォルフスベルク(城)がかなたの山頂に見えて
来ます。そこまで行きたいなと思って歩いていると案内のプレートが出てきました。
雪の坂道をずっと上がって行けば山頂までたどりつけそうです。
たまたま坂の上から小学生くらいの子供たちが(雪でころばないようにでしょうか)一本のロープに
いもずるのようにつかまり前と後ろには先生が引率している微笑ましい一行とすれ違いました。
しばらく坂を上がりましたが、思いの他遠く途中で引き返しました。
ウォルフスベルク市内 ウォルフスベルク市庁舎
ウォルフスベルク市庁舎前 ウォルフスベルク市内 ウォルフスベルク城遠景
私達が市内を散策している同じ頃に、ウォルフスベルク城で行われた朝市に行って来たメンバーも
いたようでした。
ウォルフスベルク城近景 ウォルフスベルク城内
ウォルフスベルク演奏会
夕刻19時30分より市庁舎のホールにて演奏会に出演いたしました。
客席はほぼ満席で前列には副市長さんの姿も見え緊張した雰囲気でした。
開演に先立ちロータリークラブの代表の方から挨拶と紹介がありました。
午前中の2度目の練習で会場の音響にも慣れたせいで、最初のハイドンは
不安なく進行して行きました。客席からはじっと耳を傾けている様子が
伝わって来てとても集中して音楽出来たように思います。
フィナーレが終わったとき会場の雰囲気が、これまでの緊張から何かとても
暖かいものに変化しているように感じましたし、お客様の表情にもなごやかに
なっていました。
次のプログラムは中田留美子先生の日本の歌曲でリラックスした雰囲気に
なりました。演奏前の中田先生の客席に向けての語りかけもお互いを結び付ける
のに一層効果があったように思われます。
その次は武満のレクィエムでしたが、自分たちの国の音楽を演奏しているという
実感を強く持ちました。
休憩後のプリンツ先生のピアノ協奏曲はテンションの高い力演となりました。
この頃になると客席とステージがひとつになって音楽を作っている感覚が
ひしひしと感じられるようになりアンサンブルが熱くなって行くのがわかりました。
最後の曲が終わると、満場の拍手のなか、女性にはバラの花、男性にはワインが
一人ずつ手渡されて行きましたが、ロータリークラブの代表の方が頬を紅潮させて
何度も何度も「ダンケシェーン」と言って下さるのがとても感動的でした。
「演奏が良かった…」ではなく「ありがとう!!ありがとう!!」ということばは
何と素晴らしいことでしょう。そのとき客席を見ると全ての方たちが同じことを
感じているのがわかりました。この瞬間のことはここにいた全員が忘れないに
違いないと思いました。
興奮さめやらぬ私達をホテルでのレセプションが待っていました。
チェロ、コントラバスの大型楽器を準備してくださった方に丁重にお礼の言葉を
申し述べると、冷え冷えとした町の小道を通りぬけ一路会場へと向かいました。
ロータリークラブの代表の方がたを始めとしてこの町の出身であるプリンツ先生と
そのご両親も列席されています。
中田留美子先生の通訳と司会のもと、MEOの団長の鈴木さん、ロータリークラブの
代表の方MEO創立した藤原義章氏そしてプリンツ先生と挨拶が進みます。
私達をこれほどにまで歓迎して下さり、すばらしい演奏の場を与えてくださったこの町の
人たちに心から感謝の気持ちでいっぱいでした。
MEOメンバーによるウォルフスベルク演奏会日記はこちら
ハイドンの演奏から 260KB(MP3) 2/11
武満徹の演奏から 355KB(MP3) 2/11
モーツァルト交響曲第40番の演奏から 270KB(MP3) 2/11
演奏会前の挨拶 日本の歌 ピアノ協奏曲
演奏会後の交歓風景
レセプション風景 レセプション風景 ロータリークラブの代表と藤原義章氏
11月23日(火)
今日はウォルフスベルクを後にしてバスにてウィーンに向かう日です。
途中ハイドンが活躍したアイゼンシュタットに立ち寄りました。
エステルハーツィ城の中を見学し、有名なハイドンザールではガイドさん
の説明のあとここで録音されたというハイドンのシンフォニーがステージ
で鳴らされたのですが、広い奥行きの天井と壁の間からゆったりとした
荘重な響きで客席に流れ込んで来るその雰囲気は素晴らしいもので、
いつも演奏しているハイドンの音楽の響きの原点を感じた瞬間でした。
そのあと特別に許可をいただいてステージに上がって見ましたが、
一度ここで演奏出来たらという感想を持ったものです。
エステルハーツィ城遠景 エステルハーツィ城中庭 ハイドンザール
エステルハーツィ城のホームページがこちらにあります。
11月24日(水)
この日は終日自由行動の日でした。電車でザルツブルグに日帰り
旅行をしたメンバーもあり、修復されたモーツァルトの住家の寄付名簿の碑に
MEOの名前が刻まれているのを見つけ、あらためて4年前の旅行を思い出した
ようです。
11月25日(木)
この日は終日自由行動の日でした。夕方市庁舎前のクリスマス市にでかけました。
ライトアップされた市庁舎前広場は大きなツリーの左右を埋め尽くさんばかりの
夜店がひしめきあいたくさんの人が散策と買い物を楽しんでいました。
11月26日(金)
ウィーン演奏会
夕刻19時よりバンク・オーストリア最上階のホールにて行なわれた演奏会に
出演いたしました。
この演奏会はバンク・オーストリアにて定期的に開催される
KULTURMITTAG という会の10周年記念演奏会でした。
ふだんは会員制の演奏会ですが、10周年記念なので一般の
お客さまもいらっしゃるとのことでした。
この日はウィーン放送交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏、
歌とピアノ、ピアノソロそしてMEOのオーケストラ演奏という
構成のコンサートだったわけです。
ホールのあるバンク・オーストリアの建物はリンクの東端に位置しており、
その最上階のホールからは昼間はシュテファン寺院などを一望のもとに
見渡すことが出来ました。
そのホールはいまは満席に近いお客さまで埋め尽くされています。
最初に主催者からの挨拶がありコンサートは始まりました。
ウォルフスベルクとはまったく違ってこちらのホールは残響がほとんどなく
アンサンブルはシビアな感じでしたが、中田先生との日本の歌もプリンツ先生
との協奏曲も少し違った感じで演奏することができました。
会の雰囲気はフォーマルな中にもどこかリラックスしたものが感じられました。
ほかの出演者の演奏はいずれもこうした場で演奏されるにふさわしい雰囲気を
感じさせるものでこれも貴重な体験だったと思います。
演奏会終了後主催者による打ち上げパーティーがあり、なごやかな交流の
場を持つことが出来ました。
MEOメンバーによるウィーン演奏会日記はこちら
11月27日(土)
ウィーンより空路フランクフルトに向かいました。
フランクフルトで乗り継ぎ、帰国の途に着きました。
11月28日(日)
成田空港に12時50分到着帰国いたしました。